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2016年4月 8日 (金)

なぜ慢性心不全から肺水腫になるのか

キャバリアの僧帽弁閉鎖不全は有名ですが、遺伝的に心臓の弱い犬種や血統は少なくないですから、きっと頭を悩ませている飼い主さんも少なくないでしょう。ワタシ含め。苦

犬の慢性心不全からなぜ肺水腫になるのか、どうしてラシックスを長期に渡って使うべきではないのかなど、できるだけ簡単に(?)まとめてみました。やっぱり長いので、興味のある方だけどうぞ。


心雑音がある=心臓の弁がきちんと閉まらないなどの理由で、本来心臓から動脈へ出ていかなければならない血液が、心臓の圧(陰圧)によって、再び心臓へ引き戻されている状態です。具体的には心臓の弁が閉じた音の後に続く、血液が逆流する際のザザーっという音のことを心雑音といいます。

さらに心臓の状態が悪くなると、肺でガス交換された酸素を含んだ血液がスムーズに心臓に入って来られず、肺にたまってしまいます。このとき血液の血漿成分(水)が血管から浸み出し、肺や気管を水浸しにしてしまう状態が肺水腫です。

水浸しになった肺はうまく呼吸ができなくなり、呼吸困難となります。そこで、急いで水分を肺から取り除くために使うのが利尿剤のフロセミド(ラシックス)。ところがフロセミドはとてもよく効くために、脱水を起こしやすく、腎臓の働きが悪いことを示すBUN(血中尿素窒素)が上昇しないよう充分注意する必要があります。(要は本当に必要なときかどうかを見極めるのが大事で、ダラダラと使う薬ではないということです)

腎臓のことを考えるなら、ある程度のところでスピロノラクトンなど緩やかな作用のものに切り替える、一度止めてみるという選択肢を検討する必要がある、というのが最近の治療のガイドラインのようです。
補足:フロセミド投与中に、オシッコが多いからと言って水を取り上げては絶対にいけません。医師の指示に従ってください

また、元々腎臓が悪い場合にフロセミドを使うと腎不全になるリスクが高いため、予め腎臓の検査をしておくのがベストです。

1分間に40回以上のパンティング(はぁはぁ)、チアノーゼ、継続する咳が出たら利尿剤を使うようにと、うちの場合は指示されています。


心臓自体を治療するのはもちろんですが、肺水腫は肺水腫で、きちんと治療しなければ命に関わります。人間なら入院して管理するところでしょうけど、犬の場合、性格にもよりますが入院しただけでストレスで病状が悪化することを考えると、極力自宅療養でいきたいものです。

そこで役に立つのが酸素室のレンタル。高濃度酸素を効率よく吸わせることで、肺や心臓の働きの悪さをフォローしてくれます。我が家は幸い友人から借りられましたが、設置費用など含め初月は2万円くらいかかるようです。継続して使うことを考えると安くはありませんが、息苦しさを改善してあげるには効果があります。

あとは万が一、再びチアノーゼを起こしたときに備え携帯酸素を購入しました(ドラッグストアなどで売っています)。車での移動中などに便利です。

そのほか、病院でラシックスを注射した場合は30分もしないうちに大量のオシッコが出ますので、帰り道にはオムツがあるといいと思います。

これからの暑くなる季節、心臓が悪いといつ肺水腫が起こるかわかりませんし、予め備えておくといいかもしれません。

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