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2010年4月 9日 (金)

講演会「犬猫の遺伝病と動物愛護」のこと4~トイプードル

その4です。
 その3は→講演会「犬猫の遺伝病と動物愛護」のこと3

ようやくラストです。

ライソゾーム病は、ボーダーコリーのほか、
柴犬、ジャックラッセル、チワワ、サルーキーなど25品種でみつかっていますが
今回はトイプードルの話を中心にまとめました。

ボーダーコリーのCL症はすでに“過去の病気”と考えている方も
多いようですが(実際がどうかは別として)、
それはゴエ母さんをはじめとする熱心な飼い主さんたちや
JBCHNの働きがあったからですよね。
誰も何もしなければ、そう簡単に“過去の病気”にはならないでしょう。

では、トイプードルの場合は今後どうなるのでしょう?

サンドホフ病は?
そして大和先生も「こっちが恐い」といっていた新型のライソゾーム病は?

サンドホフ病は、ノエルちゃん
その親戚を中心に発症している病気です。

広島・山口など中国地方を中心に発症しています。
(とはいっても犬は全国に流通していますから、
 他地方は大丈夫とは言えません)

サンドホフ病のほうは1歳前頃から症状が現れ始めるため
発症犬が繁殖に使われる可能性は極めて低く、
ノエルちゃんもキャリア同士の交配によって発症しています。

ライソゾーム病は常染色体劣性遺伝ですから

キャリアとクリアで交配された場合
・キャリア 50%
・クリア 50%

キャリア同士で交配された場合
・発症 25% 
・キャリア 50%
・クリア 25%

という確率で産まれます。
(注:確率ですから必ずではありませんし、突然変異もあるのかもしれません)

ところが、
新型のライソゾーム病は3歳を過ぎた頃に発症するため
発症犬が繁殖に使われる可能性があります。

ようするに、前述のサンドホフ病と同じ可能性のほかに
以下の可能性も加わります。

発症犬とキャリアが交配された場合
・キャリア 100%

発症犬同士が交配された場合
・発症 100%

数字上は、サンドホフ病をあきらかに上回るペースで
キャリアや発症犬が産まれることになるのです。


人気No1犬種として、急ピッチで交配されているトイプードル。
それもレッドとアプリ。
現状この病気はどこまで広まっているのでしょう…。

講演で大和先生がおっしゃっていました。

新型の発症犬は北海道でも九州でもみつかっていて
カラーはおもにレッド、アプリコット中心
キャリアにはブラックもいる

突然飛び出して交通事故、
ベランダから飛び降り

これはおかしい、ということでMRIを撮ったところ、
脳がスカスカだった

病気自体はまだ解明はされていませんが、
キャリア・アフェクテッドを診断するマーカーはわかっているため
検査は可能だそうです。


でも、解明していない上、
解明されたとしてもキャリアの家系も公表されないのだとしたら
どうやって予防できるのでしょう。

この病気が過去のものになる日は来るのでしょうか。
ボーダーコリーのようには…いかないでしょうね。

大型犬と比較すると、明らかに小型犬オーナーのほうが
よく調べずに衝動買いしてしまうケースが多いですし、
大型犬オーナーのような横のつながりも薄いですし。

トイプードルブリーダーの方、何か手立てはありますか?

犬を中心に考えるワタシ個人の勝手な意見としては…
犠牲になる犬を増やさないために
いろんなことがわかるまで、これ以上繁殖しないにこしたことはないですよね。

自家繁殖はもってのほか。
近い将来、起きるかもしれないトラブルをさけるためにも、
素人の方は手をださないほうが無難です。

 

ワタシがこんなことをブログに書くのは、
もちろん、トイプードルオーナーの方たちの不安を
煽りたいからではありません。

この病気が解明された暁に、
知識もない上、努力もしないブリーダーに
3歳過ぎてから発症した病気だから繁殖者に責任はない」と
一方的に言われないためにも、愛犬家のみなさんに
事実を事実としてきちんと知っていてほしいからです。

ライソゾーム病に限らず、遺伝病は基本的には治療できません。
すべての純血種で、今後もさまざまな病気を発症するリスクは消えないでしょう。
いろんなことを知って、覚悟した上で犬を飼うことも
必要なことだと思っています。



大和先生がおっしゃっていた
「純血種の多くは“不良品をつくって、不良品を直しているようなもの”」には
ワタシも全く同感です。

(大部分の)作っている人が努力していないんですから、どーしよーもないです。
でもその人たちが努力をしなくても済むようにしたのは、
厳しい目をもたなかった私達飼い主です。

前の繰り返しになりますが…

繁殖させる犬をしっかりと選定した上で
可能な遺伝子検査を受けさせ、
子犬は3カ月になってから親兄弟から離し
リタイヤ犬は最期まで家庭犬として面倒をみる

そんなブリーダーから犬を買いませんか^^

生体展示販売を行っているペットショップは
こんなことは一切考えていませんよ(毒)


日本にいる犬たちの将来は私達飼い主の行動にかかっています。
自分一人くらいは関係ない、なんて決して思わないでください。

以上、「犬猫の遺伝病と動物愛護」についてワタシが思うこと、でした(汗)


*.* .*.☆
安易にネットで犬や猫を販売・購入するのは反対です
*.* .*.☆
   ☆.* よろしければ、プロフィールもご覧ください*.

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コメント

はじめまして。
先週、日本で2例目チワワののライソゾーム病が確認されました。断定は2例目ですが、疑わしきは10数例です。主に西日本で発症しています。
今回、発症したチワワのモモちゃんは2歳のメスで知人の犬です。

購入したペットショップを通じてブリーダーさんに連絡を取りましたが、ブリーダーさんは、逆切れする始末で、遺伝病を受け入れようとはしません。
自分の犬舎に問題はなく、言いがかりで当たりが悪かっただけだと言ったそうです。
チワワは人気のある犬種です。放っておけば、どんどん広まります。
取り返しのつかないことになります。

また、獣医さんの間でもチワワのライソゾーム病の認知度が低く、断定されないまま亡くなっている子もいると思われます。
モモちゃんも、なん軒かの獣医さんを回り、病気が判りました。

今、遺伝を止める為に出来る事は何でしょう。

投稿: 犬との架け橋 | 2010年12月25日 (土) 20時43分

犬との架け橋さん、はじめまして。
お知らせありがとうございます。

お知り合いのチワワちゃん、残念です。
なにより飼い主さんのお気持ち、、、お察しします。

今後の介護のことで具体的にお困りのことがあれば、
多少、お力になれることはあるかもしれません。
(例えばノエルちゃんの介護方法など、お伝えすることはできると思います)

ノエルちゃんやライソゾームに関する記事は
ほかにも書いていますので、
もしよかったら飼い主さんにもお知らせしてみてください。

http://peepee.cocolog-nifty.com/peepee/2007/12/post_f49e.html
http://peepee.cocolog-nifty.com/peepee/2007/12/post_8413.html

さて、チワワの「2例目」ということですが
CLではないのでしょうか?
(CLであれば平成13年の時点で学会で発表された記録があります。
10年近く経って2例は少なすぎると思います)
でも、やっばり西日本なんですね…。


ブリーダーの対応はみなどこも同じようです。
ワタシの知っているケースもそうですし…。
とにかく、ブリーダーの説得がいちばんやっかいだと、大和先生もおっしゃっていました。

獣医師の間で認知が低いのも問題ですよね。
獣医師の教科書でもほんの少ししか、遺伝病については
取り上げられていないんだそうです。

こうした現状を変えるには
とにかく情報を広めていくしかないと思ってます。
ブログも微力ですが、そのための一手段です。

そのチワワちゃんの血統書、公開するお考えはないのでしょうか?

投稿: ワタシ | 2010年12月27日 (月) 12時26分

お返事ありがとうございます。
実家に帰省しており、返事が遅れてしまいました。
申し訳ありません。

血統書の公表も考えておりますが、影響の大きさなどを考えますと、いつどのような形で行うのが良いか、判断がつきません。
こうやったいる間にも、キャリアが増えていくと思うと、気持ちばかりあせります。

私達は、まだ病気を勉強し、情報を広める為に、これからブログを立ち上げる状態です。

現在、ブリーダーさんへは、診断書の提出を行い返事待ちの状態です。遺伝子検査を要請しようと考えていますが、遺伝子検査だけで、断定が出来るのでしょうか?
8日に、診断された獣医さんとお会いします。

モモちゃんに関しては、大学病院とも連携して、ライソゾーム病を研究されている大学の先生と一緒に診断されたので、CLとは違うと思いますが・・・?
私自身は病気の違いが定かではありません。
申し訳ありません。
13年前のチワワの事をこれから勉強します。

投稿: 犬との懸け橋 | 2011年1月 6日 (木) 17時55分

犬との懸け橋さん、こんにちは。
お忙しいところコメントありがとうございます。

あわててつけたレスだったのでいろいろと説明が不十分でした。すみません。

ライソゾーム病は
CL(またはNCL)やGM1、GM2(サンドホフ)、
ゴーシェ病、クラッベ病などの総称です。

どの酵素が欠損して、何が蓄積しているかによって病名が変ります。
(それで蓄積病と呼ばれています)


>遺伝子検査だけで、断定が出来るのでしょうか?

柴犬のGM1、ボーダーのCLは原因変異が同定されているので
診断は簡単だといわれています。
(ただし、それも現在わかっている範囲での話です。
 下に参考のURLをつけていますが
 新しい変異がみつかっていますので、現状の検査でのクリアは絶対ではありません)
またチワワがどうかについては、ワタシには情報はありません。

まだ原因が解明されていない場合は
まず、その家系の遺伝子の調査が必要になるはずです。

そしてその場合、ブリーダーの協力が不可欠です。

そのため、もしまだ
いろんなことがわかっていない段階なのであれば
あわてて血統書を公開することは危険だと思います。
ブリーダー怒らせ、態度を頑なにさせてしまうと
それが結果的に調査のさまたげになるからです。

焦る気持ちはよくわかります。
(トイプードルのライソゾームのときは私達もまったく同じ気持ちでした・・・)

ただ、調査がすすまなければ
繁殖を中止させるための説得も難しくなるでしょうから
まずは現状を把握されることが先決です。

獣医師の先生とよくお話になってみてください。
(ひょっとするとお住まいは岡山または広島で、大病は山口でしょうか?)


【ご参考までに】
一般の飼い主向けに書かれていますので、わかりやすいと思います。

http://dogactually.nifty.com/blog/2010/10/4---e75b.html

投稿: ワタシ | 2011年1月 6日 (木) 22時01分

犬との懸け橋さんへ

補足です。

お役にたてるかどうかわかりませんが
ワタシの知っている範囲でお知らせしておきますね。

最初のコメントに記載した
“平成13年の学会で発表されたチワワ”のソースはここです。

平成13年4月 日本獣医学会学術集会
http://square.umin.ac.jp/jsvs131/byourigaku.htm
10307←左上の番号です
「水頭症を併発したチワワ犬のceroid-lipofuscinosisの1例」


また2008年11月のこちらのブログ記事にも
チワワのCLの画像が紹介されています。
http://vetmri.exblog.jp/10121900/


学会のほうが雌2才、
ブログの画像のほうが雄19カ月齢ですので
これだけで、CLは既に2匹いたことになりますよね。
となると、モモちゃんは新たなライソゾームということでしょうか…


もしコメント欄に書きにくいことがあれば
sapporo_wanあっとまーくyahoo.co.jpまでご連絡ください。

※あっとまーくは@に変換してください

投稿: ワタシ | 2011年1月 7日 (金) 11時38分

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